流行語大賞

「流行語大賞」は、無意識の言葉の流行を記録するイベントというより、「現代用語の基礎知識」という本が自由国民社というところから毎年発売されていて、それのPRイベントとなんです。それが、こんにち風物詩のように定着してきたのはなぜでしょうか。


「流行語大賞」は、辞典のPRイベントだった

毎年12月にニュースになる「流行語大賞」。
「今年の顔」とか「世相をす鏡」なんて言われるけど、実際のところこれは公共的な賞でも、学術的な調査でもありません。

1984年にスタートして以来、この仕組みはほとんど変わっていません。自由国民社の事務局が「ノミネート30語」を発表し、その中から「トップテン」と「大賞」とを選びます。選考を行うのは、やくみつる、室井滋、神田伯山、パックン、俵万智といった選考委員たち。


歴史を彩る「ことばたち」

これまでの受賞言葉を振り返ると、日本の世相がとても見えてきます。1997年は「失楽園」、2001年の「小泉語録」(政治のメディア化)、2006年のイナバウアー(冬季オリンピックで話題)、2014年の集団的自衛権(政治論争の年)。2024年は「ふてほど」が賞に選ばれました。 見事、その年の空気を詰め込んだ言葉の見本市です。

いえ、「プレミアムフライデー」や「おむすびころりんクレーター」みたいにノミネートされたけれど流行らなかった言葉も多いのはご愛敬。 そこがまた、この賞の人間味というか、時代の「ズレ」が映っていて面白いところもあります。


タイミングの妙とメディア戦略

このPRイベントが「とりあえず成功した」と言われる理由の一つが、そのスケジュール設計です。 ノミネート語は
毎年11月5日に前後に発表され、『現代用語の基礎知識』も即日発売。 メディアが賑わうタイミングを狙っています。 12月1日に大賞を発表することで、年末の「今年を振り返る」報道や番組に自然と注目される。


ことばが語る「いま」を覗くイベント

流行語大賞は、文化のミラーです。
集団的自衛権」のように重いテーマもあるのですが、
その年、どんな言葉が人の心を動かし、どんな言葉が消えていたのか。その痕跡を「賞」として残すことで、言葉を通じた日本の「時代記録」が形になるのです。


このような視点で考えてみると、「流​​行語大賞」が話題作りではなく、一つの見事な言語文化装置として見えてきますね。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

前の記事

ポイ活